ひかりかがよう

20世紀の終わりから21世紀の初めの若者たちのことばです!

家に戻った球児は……

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*   地元が最高                    男子

 

 僕は中学生の頃、とても地元が嫌いでした。それは僕の地元は田舎で、コンビニなんてもちろんないし、交通も不便な所に住んでいて、絶対に高校に入学したら家を出て高校の近くの下宿で三年間過ごそう、と思い親に言ったら、初めは反対をしていたけれど、一度言ったら聞かない僕の性格を知っていたせいか、何度も話をして許してもらいました。

 

 四月十日、僕はこの日を忘れられません。それは家を出る日だったからです。家を出る時、母親は泣きながら一通の手紙を僕にそっと渡してきました。その時の僕はというと、これでやっと家から出られると心がワクワクしていました。一人で下宿の部屋で母親からもらった手紙を読んでみると、何事もめげずに頑張れと書いてあり、その時には何か母親に悪いことをしたなと思いました。

 

 憧れの下宿生活を始めてみると、確かにすぐ近くにはコンビニもたくさんあり、交通の便でも電車がすぐ近くにあったのですが、何か心の中で自分の描いていたのと違いました。

 

 それから下宿に入って初めの方は、何事も楽しかったのですが、数ヶ月も経つと、「田舎にある家だけど、帰りたいな」と思うようになりました。

 

 そのことを親に言うと、「家に帰って来るか?」と僕に聞いてきたので、僕は心の中で、便利をとるか、それとも何もないけど何かほっとする地元をとるか三日間考えて考えて決めた結果は、我が地元に帰ることにしました。

 

 そして地元を出たいと言っている前の僕みたいなヤツに言ってやりたい。「何もない所やけど、やっぱり地元は最高や!」ってことを。          [2006年5月ころ]

 

★ 彼は背の高い、俳句のセンスのある野球部員でした。なんと「おーいお茶」のコンクールにも佳作で入りました。いろいろ考えておうちに戻ったんですね。

だから、わりと元気になれてたんだ。

彼の地元とは、漁師町でした。だから彼は背が高かったのかな……。