ひかりかがよう

20世紀の終わりから21世紀の初めの若者たちのことばです!

どかべん弟、兄ちゃんを手伝う!

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★   一人暮らしに思うこと          男子 2005

 

 今年、私の兄が京都の大学へ合格し、一人暮らしをすることになった。
 高校時代に夜遅くまで部活をやっていた兄は、受験勉強の時も塾へ行き、帰ってくるのがとても遅く、家にはほとんどいなかった。そんな兄だったので、「一人暮らしをする」と聞いた時も、私は特に何とも思わなかった。

 

 兄は一人暮らしの準備を続け、私もそれを手伝い、父と兄と私は、大量の荷物を車に積んで兄のアパートへ向かった。車の中は窮屈で、私は荷物に囲まれた状態のまま数時間耐え続けていたが、兄は助手席でずっと寝ていた。

 

 やっと兄のアパートに着き、私たちは荷物を三階にある兄の部屋へ運んだ。兄は「それはこっち、ここはこれ」と命令ばかりしてきた。私は「ちょっとは働け」と思いつつも、何往復もして、やっと兄の部屋が完成した。

 

 その後、一旦家に帰ってから、入学式の前日に兄は京都へ行ってしまった。兄の部屋は弟のものになり、兄のいた痕跡は完全に消えて、その部屋は以前と変わって、マンガ本の溢れかえる部屋となった。

 

 兄が行ってしまってから一週間は、親も心配していて、一日に四、五回は電話をしていた。たまに私も電話をしているが、いつも友だちと遊んでいるようで、にぎやかに毎日を楽しんでいるように思えた。

 

 そんな兄がゴールデンウィークに帰って来た。兄は、母の手料理を食べ、「やっぱ米はいいな」とうれしそうに言っていた。

 

 兄は一人で家事をしていて、家のことをすべてやる大変さや、家族の大切さがよくわかったと言っていた。私は一人暮らしにあこがれていたが、それは単に親がうっとうしいと思っているだけなのだと思った。

 

 支えてくれる家族の大切さや、みんなでいられることが当たり前になっているが、兄を見て、その当たり前の大切さがよくわかった気がした。

 

★ 淡々とお兄さんのお手伝いをして、チャッカリお兄ちゃんの部屋を占領したO君の姿が見えてくるようです。

 彼は今、何をしているんだろう。きっとチャッカリ確実に歩いているかな。この作文を見つけて、「あっ、これ載せておかなきゃ」と思いました。

 

 ついでのことながら、彼のお父さんに、うちの子どもは中学校でお世話になりました。私は直接彼のお父さんとお話しすることはなかったけれど、いろいろとつながっていて、人と人との関係、大事にしなくちゃな、と思ったんでした。