ひかりかがよう

20世紀の終わりから21世紀の初めの若者たちのことばです!

車川のヒロミちゃん

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多気町の車川には時々行きます。

ヒガンバナの季節や、サクラのころや、紅葉がキレイな時とか、

何かを求めていくことがあります。

 

東西に細長い多気町の西側の集落なのですが、

ここに行くには東側からの一本道しかありません。

西から入る道もあるみたいだけど、細そうで、試したことがありません。

 

かくして私たちは両側を山ではさまれた道をたどってここに行きます。

たいていは前後にクルマもなくて、適当に止めたり、

途中で写真を撮ったり、自分たちの季節の味わい方があるみたいです。

 

もう少し私たちがワイルドだったら、山菜採りとかするんだろうけど、

私たちにはそういう経験がなくて、自然の風物を味わうくらいしかできません。

 

メインの道路から外れて、隠れ里のようなところをめざすので、

独自の小さな世界がそこに広がっているようで、本当ならそこの人々と関わりを持てたらいいのですが、ただ何となく行ってみるだけで終わっている。

 

考えてみれば、この集落は、ヒロミちゃんのおうちがあった(ある?)ところです。

もう長い間彼女には会ってないけど、彼女はここから駅まで出て、そこからJRで通う生活を三年間つづけた人でした。

吹奏楽部に所属していました。同級生にはそっくりの双子さんがいて、二人ともトロンボーンか何かを吹いていて、二人を見分けるのはなかなか難しかったりしました。

でも、そのうちに私でも見分けられるようになりました。

 

タレントのマナカナさんみたいなものだったかな。双子でも微妙に違っていて、それを見分けられるようになるのは、それなりに関係が深まったことであり、何だかうれしかったりしました。

 

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ヒロミちゃんに出会ったころには、彼女の家のあたりまで

行ったことがありませんでした。

 

彼女が卒業して名古屋の看護学校に行き、それからどうなったのか。

たぶん、名古屋で就職したんでしょう。もともと名古屋に住んでいて、

お父さんの仕事の関係でお父さんのふるさとにもどり、

自分の人生を歩むときに、自分の小さかったころに住んだ町へ戻っていったんだから。

もともと彼女は都会的なものも持ってはいたのかもしれない。

でも、雰囲気的には、素朴でさみしがりやの女の子だったんだけど……。

 

彼女が好きだという男の子もいて、だったらちゃんと告白したらいいんじゃない!

と助言したのに、彼は現在別の女の子と名古屋に住んでいたりする。

 

近づいたり離れたりして、私たちは自分のまわりの人と関係づくりをしながら生きています。

 

私は、車川に住んでいたヒロミちゃんを時々思い出しながら、彼女が自転車で走った道を、ゆっくりクルマでたどっています。

 

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サクラは必ずそこにあって、季節がやってくると、遅い早いはあるけれど、

咲いてくれる。

 

私も、そういうスタイルをまねして、大したことはできないけれど、いろんな人を迎えられる人になりたいです。

 

じっとしていられないから、難しいかな……。