ひかりかがよう

20世紀の終わりから21世紀の初めの若者たちのことばです!

あいさつのある町

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*   私の町と近くにある町               Y・K

 

 「おかえり。」「ただいまー。」

 

 保育所・小学校・中学校の時の帰り道で、その言葉はごく普通にかけられていた。自分自身も当たり前に知らないおばあちゃんやおじいちゃんに言っていた。他愛もないおしゃべりをして帰るものだから、帰りが遅くなってしまうことも度々あった。

 

 高校生になり、親に車で送り迎えをしてもらう登校となった。今まで毎朝・夕方と会っていた人たちと会わなくなり、「ただいまー。」という言葉も時々使うだけとなってしまった。

 

 私が小学生だった時のある夏の日の朝、私の二人の姉が、近くにある町に遊びに行こうと言い出した。なので私たちはバスなどを使いその町に向かった。知らない所を歩いていると、前から早足で向かってくるおばちゃんが歩いてきた。私は当たり前に「こんにちは。」と言った。しかし、そのおばちゃんはそのままチラッと見るだけで去って行ってしまった。私は、その時ものすごく悲しかった覚えが今でも残っている。私はそんなあいさつのできない大人になってしまう地域には、(私の住む)この町にはなって欲しくないと思った。

 

 私の町では、今でもどこからともなく「お帰り。」の言葉が飛び交っている。その言葉の大切さ、暖かさを知っているからこそ、今の状況は少し淋しい。でも、これからもこの町はそんな暖かい言葉がずっと交わされる町でいて欲しい。[2007年6月]

 

★ 私の町は、その中間かな。知り合いやご近所の人らしき人は、名前は知らなくても声は掛け合います。知らない人も、外国の人も、お年寄りも、子どもたちも、みんなが声の掛け合いができる町が、そりゃ、いいですね。

 

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