ひかりかがよう

20世紀の終わりから21世紀の初めの若者たちのことばです!

教師をめざして Y・Kくん

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 「僕の将来の夢は小学校の教師です。」

 

 そう答えるようになったのは、きっと中学生の頃からだろう。好奇心の強い小学生の時は、数多くの夢を転々と抱いた。「かっこいい」と思ったものには、すぐなりたいと思った。決して長続きするわけでもなく、まるでケーキ屋でケーキを選ぶような感覚だった。

 

 けれども、そんな僕が教師をめざすようになったのは、ある一人の教育者との出会いからだった。

 

 何気なく立ち寄った本屋で一冊の本を見つけた。『いのちのリレー・ある教育者の生きた証を綴るノンフィクション』。すぐに手に取って読み始めた。

 

 この本は、主役である大瀬敏昭さんは、その身体を末期ガンに侵されていた。けれども、子どもたちにいのちの尊さを伝えるため、自分の身体を教材として最後まで教壇に立ち続けたのだ。最後の最後まで“教育者”として生きた大瀬さんの姿に、僕は感銘を受けた。

 

 今の教育の世界は、とてつもなく崩壊している。教えるべき立場である教師までもが多くの不祥事を起こしている。一体どんな気持ちで教壇に立ち、生徒と接してきたのか。このままでは間違いなく取り返しがつかなくなるだろう。

 

 だからこそ僕は、大瀬さんのような教師になりたい。自分のことよりも生徒のことを思い、最後まで教育者として生きる。それが“教師”というものではないだろうか。

 

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★ 2007年の5月ごろに書かれた文章です。当時、Y・Kくんは17歳。理想に燃えていたのだと思われます。そのまま努力して、今はちゃんと教育者としてやっているようです。本当に、キレイな字を書く、優しくて穏やかな生徒さんで、たぶん、今もそのまんまの情熱で、生徒たちに接していることでしょう。頑張ってくださいね。また、どこかで会えるかなあ。