2008.10.20 1-5の俳句です! まだ半分
まだ1-5の俳句は続きます。この冬休みに作者は誰か、そういう資料を探そうと思ったんですけど、自分の部屋の片付けもちゃんとできてなくて、もうしばらくお待ちください。あてにしないで待っててくださいね!
とりあえず、生徒の皆さんたちが、どんなことを考えていたのか、思い出す材料になるでしょうか。
16 悠々といわしが泳ぐ秋の空
いわし雲が空にあったというのを表しています。いわし雲と秋の空、秋の季語が二つもあることがいけないのかな。ああ、そうなので、終わってしまうからもったいないというべきなのかな。いわし雲とそれ以外の何かを取り合わせてもらった方が、読む人を作者の世界に引き入れることができるんでしょうね。わざわざ空にいわしが泳いでいると言わなくても、もうみんな分かっていることなんだから。
17 古池や木の実とびこむ水の音
賢い人がたまにしてしまうクスグリです。それ以上の発展性がありません。
18 夕暮れの雲より出でし月の光
「月の光」という下五がものすごく残念です。字余りだし、ゴロが悪い。
だったら、「夕暮れの雲より出でし月の影」だったらいいのか? これだとカタチは整ってますが、それがどういうことなのか、どういう情緒があるのか、そこが不明で、中途半端な気がする。「夕暮れ」「月影」秋の季語二つももったいない。
19 団栗はカシやクヌギの木の実です
まさにその通り。賢いねと褒めてもらえるけど、句はそこで終わりかな。
20 アスファルト茶色い木の実浮かぶ君
おっ、これは意味不明です。なかなか雰囲気はあるのだけれど、あまりに分からな過ぎて意味不明です。もう少し整理して放り出してほしかったなあ。これは作者に尋ねたい内容です。
21 山へ行き木の実拾いが好みかな
これはオヤジギャグ的なところもあります。「が」という助詞は強すぎるからなかなか使いにくいと聞いたことがありますので、「山歩き木の実拾いは好みかな」にしてもいいかもしれない。何だか面白い回文みたいな味がありますね。
22 ころころと転がってくよ団栗が
お題はどんぐりだったんでしょう。だから、急にどんぐりを五七五にしろ、と言われて、これしか思いつかなかったのかな。どんぐりといえば「ころころ転がる」だった。私たちって、「ころころ転がる」実感はないのに、どんぐりと聞いたら、それをイメージできるんですから、できればそれ以外のことを書かなきゃいけないです。
23 団栗をポケットにつめ帰る子供
これは俳句のタネがあります。残念ながら五七六になっててリズムが悪いです。「ポケットにどんぐりつめてきた子たち」だったら、その親御さんの句になってしまうし、もっと違う展開が欲しいなあ。
24 団栗や根元に落ちて森の種
これも頭のいい人の作品です。でも、表現を工夫して俳句にしてほしいなあ。これは科学者的と言いますか、あまりにクールすぎて、イメージがふくらみません。
25 犯人はだれだだれだと木の実ナナ
これはなかなかいいです。インパクトあり! 木の実ナナを知っている若者って、えらいですね。こういうドラマがあったんだろうか。私はイチオシです。
26 団栗が落ち葉の中でかくれんぼ
比喩ですけど、大人としてどうなんだろう。子どもでも書けそうで、そこが不満です。大人としてはこれは作ってはいけないかな。
27 虫食いの木の実のごとしこの頭
これも進学校によくある自虐ネタなのかな。確かに自分のつまらなさ・ふがいなさに腹を立てる時だってあります。でも、そこに甘んじていてはいけないし、たぶん、作者もその反省の上に立って次のステップに進んでいると思われます。
28 団栗が帽子を無くして寒そうに
よく観察しているねと褒められるべきか、それとももう少し別の世界を表現してもらっても良かったかな。寒いどんぐりなんて、頭の薄い私としては悔しい感じです。
29 風吹くと団栗の実がまた一つ
風が吹いたらどんぐりって落ちるんだろうか。それが気になってきました。
30 道ばたの団栗一つをお守りに
ステキです。でも、それをもう少し一般化させてもらえないかな。個人的すぎるのです。と、日記的な俳句しか書けない私が言えることではないんですけどね。