第5回 少しでも自分から
彼女はおとなしい子でした。はにかんだような顔をして照れくさそうに話すのでした。
きっと自然に話せる人がいるのだと思いますが、それも思春期の一時期のことで、大人になってガンガンおしゃべりする女の人になったかな。それとも今も昔のままでいるのかな。私は、会ったらわからないくらいに変わってると思ってしまうんですけど……。
どっちにしろ彼女の人生で、ホントはいろいろとお話したい気持ちは持っていたんでしょう。残念ながら私はあまりお話しできなかった。共通の話題もないし、相手にしてもらえなかった。それはそれでいいんですけどね(オッサンと話をしたい若い子なんていないもんね!)。
* 少しでも自分から S・M
私には、「どうすればいいのか」とか、「どのようにするべきなのか」が、わからないときがあります。そんなことは誰にでもあって、普通なのかもしれないけれど、私のは少し違う気がする。
私は、小学校のときから友だちが多い方ではなく、休み時間のときも一人でいることが時々ありました。友だちから「遊ぼう」と言われるときは遊べたけれど、自分からはどうやって誘えばいいのかわからなかったのです。
小学校四年生のころ、一人の話したことのなかった女の子に初めて話しかけてもらった。それからは、その子といろんなことを話すようになったし、学校の中だけでなく、休みの日にも遊ぶようになりました。
中学生になって、その子とはクラスが別れてしまったけど、初めて一緒のクラスになった子とも友だちになったし、他の子とも仲良くなりました。
私は「人とのふれあい」は話すことから始まるものだと思った。話をしてみなくては、その人のこともわからないし、仲良くなれないと思う。私は小学生のときに、一人の女の子に話しかけてもらったときから、そう思うようになりました。
私は今でも少し「どのようにすればいいのか」わからなくなる時があります。初めて会った人と仲良くなりたいけれど、どうやって話しかければいいのかわからなかったりするのです。
でもこれからは、少しでも自分から話しかけていこうと思い、努力していきます。話しかけてもらったとき、すごくうれしいし、友だちが増えるのもすごくうれしいと思ったからです。
彼女にはどんな写真がいいかなと、探してみて、赤いイチゴの花にしてみました。どうでしょう。久しぶりに彼女のことを思い出しました。ことばのおかげです!