ひかりかがよう

20世紀の終わりから21世紀の初めの若者たちのことばです!

俳句甲子園 初めての出場(2000)

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*  初めての俳句甲子園(2000年夏) ……同窓会新聞より

 

 私の住んでいるところは「俳句の国」をめざしています。旅・道・祭・空などテーマを決めて毎年全国からの一句を求めています。そして、求めるだけではなくて、県民の俳句を発信する一環として、高校生を愛媛県松山市で行われる「俳句甲子園」(八月一九日・はいくの日)に送るということになったようです。

 

 七月の県予選では、本校の食物調理科の五人は、まっすぐな乙女の気持ちを素朴に五七五にし、句の紹介や討論の時にも一生懸命に自分の考えを述べて、トントン拍子で松山の本大会に出場が決定しました(M商業チームと一緒に)。

 

 予選の時の俳句は、「金魚」「花火」がテーマでした。この時の句をベースにして、本大会へは、もう一つ「雲の峰」というテーマであと一句作り、本部へ送った後、県知事さんを表敬訪問もして、いよいよ出発となりました。

 

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 メンバーの代表作を書いておきます。

  まちこさん    夢を見よいのち短し金魚たち     
     まゆみさん    おき忘れた金魚と君の笑い声     
     ひろみさん    闇に散る花火の火花は涙だろうか 
  みかさん     空に咲く花火はそっと消えていく   
     ゆうこさん    遠花火心のアルバムページ増す

 

 全国大会の一回戦。その兼題は「雲の峰」。対するは松山市の東温高校チーム。
われらの先鋒(せんぽう)(野球でいえばトップバッター)は、唯一の二年生・ゆうこさん。

 

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  雲の峰想い出すのは祖父と畑(はた)

……入道雲、夕暮れの帰り道。畑仕事から帰ってきた祖父に歩み寄る幼い日の「わたし」という句でした。 

 相手は、 

  長距離の一人ゆっくり雲の峰

……ゆっくり雲が動く情景の句。シンプルだけど長距離走との組み合わせが絶妙でした。
 この対戦は、少しわがチームの作品が欲張りすぎた内容で、そこをつかれて、判定は一対二。先手を取られてしまいます。

 

 次のひろみさんの句は、
  自転車で走ったその先雲の峰

……夏の情景、道のはるか向こうにそびえる雲。

 相手は、

  ボレー決まり少しの涼しさ雲の峰

……一瞬をうまく切り取った句。ノスタルジック対テニス部一年生は、またも一対二。王手を掛けられてしまいます。

 

 逆転を信じてみかさんが登場。
  立ち止まり友と見上げた雲の峰

……うちは同じような傾向の作品が続いています。はたして、劣勢の流れが変えられるか? 日常の一コマでどうです!

 相手は、

  雲の峰遠き黄河の水まじり

……空には国境もなくいろんな世界が混ざってるという内容で、少しスケールが大きい。そして、判定はまたも一対二で、初戦敗退となりました。

 

 メンバーは五人全員で質問をし、思ったことを言い、自分たちの句の世界を訴えました。しかし、初めての場であり、しかもアゥエーということあって、永遠のような一時間は、あっという間に終わってしまったのでした。

 

 あとはトーナメントの観戦と個人賞ねらいになり(うちの個人賞もなし)、はるばる松山まで来て緊張してたものが、いっぺんにしぼんでいくような物足りなさがありました。また、ディベート合戦といっても、何か「けなし上手」なチームが有利なような気もして、納得のいかないところもありました(その点は翌年からルールが改正されます)。

 

 松山から帰った後、メンバーが「空の一句」で入選したり、ゆうこさんが県の広報に載ったり、うちの学校の「俳句」の活動は、少し広がっていったような気がします。