ひかりかがよう

20世紀の終わりから21世紀の初めの若者たちのことばです!

ペンギンがらって?

★ タイトルがおもしろいですよ。「ペンギンがら」って、何だろう?

 私は傘か、スカート、シャツそんなもののイメージで見ていました。

 

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*   ペンギン柄                    C・K

 

 私には三人の妹がいる。つまり、四姉妹の長女なわけだが、そう見られたことは一度もない。途中まで一人っ子同然で育てられてきたのだから、わがままさが抜けきれていない部分があるのだろう。

 

 四女とは十五歳離れている。二歳と十七歳というこの関係は、実に不思議で仕方がない。姉をやっているつもりでも母親をやっている気がして、「随分、老けたなあ」と感じてしまう。二人でいれば、会話も変。行動も変だ。

 

 ある時、四女が無理矢理私の部屋に入ってきた。こんな時は「お絵かき」を勧めてみるのが得策だ。安易な考えで四女を野放しにしておくのは危険なのである。丸いテーブル、たくさんの色ペン、ペンギン柄のノートを用意した。

 

 すると、四女が動いた。なぜかゴミ箱を持ってきて、ノートを切り始めた。こんな小さい子がハサミを持って次から次へと紙をバラバラに解体するのは、実に恐ろしい光景であった。私は、勉強をしているふりをして妹の作業を見続けていた。

 

 よく見るとテーブルには、ペンギンがたくさんあった。私が「ペンギンの部分が欲しいの?」と聞くと、「うん」と答えた。きれいに四角く切られた紙を四、五枚ポケットに入れ、「バイバイ」と私に言って、部屋を出て行った。

 

 四女が私の部屋にいた時間は十分弱で、とても長い時間とはいえない。しかし、貴重な時間であったといえる。決して、次女や三女、親や友達といる時には生まれない、特別な時間なのである。四女が大きくなって、この出来事を憶えていなくても、私は憶えている気がする。妹と過ごす時間の中で、様々なことを発見し、二人で成長したいと思う。                                          [2007年6月]

 

★ 四人姉妹なんて、タニザキの「細雪(ささめゆき)」みたいだけど、そういう環境になったら、それはそれで楽しいでしょうね。はたから見ていても、ほんわかする感じです。ドラマにもなっちゃいますからね。